“多面的思考”を鍛える
「多面的思考を鍛える」ということについて、
お話をしていきたいと思います。
毎月、私の受講生さまと、マンツーマンで
株式の売買指導を行う機会をいただいているのですが、
いつも思うことは、
「単一思考になっているな・・・」
ということです。
これはどういうことかと言えば、
・多くは、テクニカル分析だけで判断する
・チャートをいつも同じ時間軸で見る
・同じ時間軸での、インディケーターをいじくる
つまり、常に視点が“1点集中型”になっているのです。
特に銘柄を選択し、エントリーするときになれば
より顕著になります。
本当なら、同時に見ておかなくてはならないことを
すっ飛ばして、個々の銘柄単体の動きで判断してしまう。
結局、『盲点だらけ』ということになるのです。
このように『盲点だらけ』なってしまうと、
“リスク度”がかなり上がってしまいます。
あと2つの項目を見ておくだけで、
リスクを排除できたにも関わらず、
その点に着目していなかったばかりに、
損失に陥ってしまうということが
受講生の過去の売買履歴を見ていてよく思います。
今の株式市場は、銘柄単体での判断は危険です。
グローバル化した現在のマーケットでは必ず、
・金利動向
・為替動向
・マクロ指標
・外国人投資家動向
・裁定取引
・個人の信用取引状況
これ以外にもたくさんあるのですが、
このようなことを同時に見て、
「多面的」に判断していくことが重要なのです。
これを私は勝手に、「多面的思考」と言っています。
複数の状況を同時に観察して、ひとつの答えを導く・・・
ひとつの方からだけではなく、
さまざまな角度から、市場を冷静に判断する。
事象の見え方は、“ひとつではない”ということです。
これが「多面的思考」なのです。
マーケット、個別銘柄を「多面的思考」で考える
クセを付けることで、今まで見えなかったものが
見えるようになり、頭に血が上ることなく
冷静な判断が下せるようになります。
つまり「盲点」を失くすことに繋がります。
イコール、リスクを低減させる効果があるのです。
例えば、A社という銘柄を買おうとした場合、
ひとつの側面から見ると「買い」の判断ができても、
もうひとつの側面から見ると、「買い」の判断が
できないということがあります。
「それじゃあ、判断できないじゃないか!」と
言われそうですが、そうではありません。
いろんな角度から物事を見つめ、
より確率の高いポジションを考えるのです。
『多面的思考』とは、よりポジション取りの精度を高め、
リスクを低減させるための“重要なスキル”なのです。
バフェットでも、ソロスでも、ジム・ロジャーズでも
株価がどう動くかなんて、だれも分からないのです。
“プロ”と言われている人は、瞬時にさまざまな
情報を受け取り、そして頭の中でパズルを組み立て、
その時々の判断を下しているのです。
では普通の投資家が、「多面的思考」を得るには
どうすればいいのでしょうか?
私がおすすめする方法は、
とにかく、いろんなデータを集めて、
時系列に並べて、同時に見る方法です。
例えば、為替動向と日経平均株価を同時に見て
どういう条件の時に、株価の動きを確認する。
また、企業業績の売り上げ、利益の推移と
株価の動きを見る。
為替と、企業業績の進捗を時系列で見てみる。
また、株価チャートを、いろんな時間枠で見てみるなど
異種データを、時系列で見ることで、
これまで見えなかったものが、だんだんと見えてきます。
そして、何でも良いから恐れずに
ひとつのことを導き出すことを、繰り返し行う。
そうすれば、どんな人でも必ずできるようになります。
ではすぐに「多面的思考」が
身に付くかと言えば、そうではありません。
これは訓練なので、ある程度、時間が必要になるでしょう。
しかし、これができれば専門家が何を言うのか
下値のメドや、目標値などが、分かるようになってきます。
「多面的思考」が身に付けば、他人の相場観に
惑わされることもなくなりますし、自分だけの
「相場観」を組み立てることも可能になるのです。
ぜひ、トライしてみてください。